暗号化して取引を行う仮想通貨の中でも、とりわけ高い匿名性での取引を実現したZcash。
日本ではまだ取り扱いが少ないですが、JPモルガンと提携するなどたびたびニュースを賑わせている通貨です。
匿名通貨のZcashとは?どんな仮想通貨なの?
Zcashは2016年10月に誕生した比較的新しいアルトコインの一種です。
単位はZECで、発行の総量は2,100万枚です。
半減期や発行量、取引の承認方法はビットコインに準じていますが、ひとつのブロックを生成するのにかかる時間は2.5分とビットコインよりも短いため、よりスピーディーな取引が可能になります。
引用:https://www.worldcoinindex.com/ja/%E3%82%B3%E3%82%A4%E3%83%B3/zcash
公開前から米英のタイムズ紙で取り上げられるなど、多方面で注目されていたこともあり、将来的に人気が出る通貨だと見られていました。
そのため販売開始直後には投機目的の人が多く集まり、Zcashは一時1ZEC=530,000円まで暴騰しました。
これは当時のビットコインが7、8万円だったことを思うとどれだけ大変なニュースだったか窺い知れます。
もちろんこの高値にZcashを売却する人が続出し、あっというまに1ZECは4,000円前後にまで値下がりをしました。
当時はICOが盛んだったりお金の動きが激しかったため、その影響を大きく受けたようですね。
その後は大きな変動もなく3,000円から5,000円あたりを推移していました。
しかし2017年に入ってから徐々に値を上げ始め、5月にニューヨークで行われたコンセンサス(仮想通貨のサミット)でJPモルガンと技術提携することが発表され大きく値を上げたのです。
その後も取引量の多い仮想通貨取引所で上場したりと、価格はどんどん底上げしています。
2017年12月16日現在の価格は日本円にして58,000円前後です。
どんな仕組み?匿名通貨と呼ばれる所以は?
先ほどからJPモルガンとZcashが提携したことに何度か触れてきました。
なぜ誕生してから間もない通貨が、世界でも屈指の資本力を誇る超大手企業に見染められたのでしょうか?
その秘密はZcashがゼロ知識証明という暗号技術を実装していることにあります。
ゼロ知識証明とは、暗号学という学問で1985年に提唱された理論で長らく忘れられた理論だとされていました。
簡単に説明するとパスワードを入力しなくても、その人がパスワードを知っていると証明する理論です。
これだけ聞くと、そんなことできるの?という感想が出てしまいますよね。
しかしランダムな認証を何回か行って確認することで、可能になるんです。
たとえば、ベンツを持っている人は権利書や鍵を持たなくても自分のベンツの特徴を何個も言えますよね。
車体は黒・○○がオプションでついている・助手席のシートに少し傷がついている…など所有している人しかわからない情報で以って証明ができます。
この理論を仮想通貨に初めてとり入れたのがZcashなのです。
ビットコインや他の通貨でも取引を暗号化したり、ランダムな文字のアドレスで取引したりして匿名性は低くありませんでした。
しかし、公開されたネットワークで取引が保存されるため「どのアドレスがどんな取引がしたか」ということが誰でも知れるようになっているのです。
これは中央機関を介さないために取引の透明性を上げる大きなメリットでもありますが、大きな金額をやりとりする企業や大口投資家などがハッキングに狙われやすくなってしまいます。
そこで総受信者のアドレス・コインの量・取引の履歴などが匿名化されているZcashを使えば迅速に資金提供ができる上に、安全性も確保できます。
この点に着目したJPモルガンは技術提携を発表しました。
企業の機密文書の業務に取り入れたり、イーサリアムのアップデートにゼロ知識証明を導入したいという狙いがあります。
他の匿名仮想通貨。ダッシュやモネロと比較してみた
しかし匿名性の高い通貨はZcashだけではありません。
ダッシュやモネロも取引を匿名化できるセキュリティの高い通貨として知られています。
ダッシュ(Dash)は2014年1月にリリースされた通貨で、12月3日現在時価総額ランキング5位につけています。
コインジョインという仕組みで、一時的に送金リクエストをまとめて資金取引にプールを挟みます。
そうすることで送金元のアドレスはブロックチェーンに記載されないようになり、取引自体は履歴が残りますが追跡はできません。
公式アプリがiOSでダウンロードできたり、海外の自動販売機やATMでの取り扱いも始まっているなど現在もっとも人気のある匿名通貨です。
モネロ(Monero)も同じく2014年に開発されました。
coinmarketcapのランキングでは10位につけており、匿名性の高い通貨ではダッシュに次ぐシェアを獲得しています。
ブロック生成にかかる時間もわずか1分と短く、実用性とセキュリティを兼ね備えた通貨だといえます。
取引のたびに一定時間だけ使えるワンタイムアドレスが生成されるので、そこに送金したり、アドレスも閲覧用と送金用に分かれているため履歴のみを公開でき送金元は特定できません。
両者とも高い暗号化技術を備えていますが、取引自体は公開されたりする一部匿名です。
しかしZcashは送受信アドレス・取引金額・取引までもが知られることなく取引できるため、匿名性や技術で言うとZcashが進んでいるように思われます。
Zcashが控えているニュース。なるか高騰!ロケットダイブ!
ZcashはJPモルガンが推奨しているイーサリアムと協力し、イーサリアムの第3段階のアップデートのメトロポリスでの匿名性の向上に尽力しました。
さらに今後、JPモルガンはロッキードバンク・オブ・カナダとオーストリア・ニュージーランド両国の銀行グループと協力し「Quorum」という新しい決済処理ネットワークを開発すると発表しました。
ブロックチェーン技術を用いて安全性が高い取引を低コストで実現できると、大きな期待を集めています。
そしてZcashカンパニーはZcashでも導入されているゼロ知識セキュリティレイヤーをこのQuorumのシステムに統合したことを明らかにしています。
実用時期はまだわかっていませんが、今後の銀行システムが大きく変わりそうですね。
ハッキングや不正アクセスを理由に仮想通貨にネガティブなイメージを持つ人でも、取引が匿名化されるこの技術で安心して利用できるようになりそうです。
その他にも、ロシアでZcashのATMが登場したりwikileaksへの寄付がZcashでできるようになったりと様々な分野で活躍の幅が広がっています。
Zcash懸念材料は?下落する可能性も?
これまで順調に成長を見せてきたZcashですが、一方ではその匿名性の高さが問題視されることも多くあります。
送金元や入金元が特定できずに取引された通貨の量も知ることができないというのは、犯罪に使われる可能性が多いにあるという点が指摘されています。
マネーロンダリングや犯罪などに使われたり、ドラッグをZcashで売買することもあるかもしれません。
しかし、Zcashは開発・運営元がはっきりしていることと、大きな企業から
出資を受けていることが強みであるといえます。
資金力やシステムがしっかりとしていればトラブルが起きたときにも、対応できるからです。
ビットコインは公平性を大切にする理論のもとで、開発者の詳細は明らかになっていません。
チームも存在しますが、意見が食い違ったり対立が起こったりして根本の問題の解決が後手に回っている印象です。
独裁になると問題はありますが、Zcashのように管理する機関がしっかりしているのは安心できますね。
zcashはホールドし続けるのが吉?
Zcashは大きな値動きがあまりないので短期トレードには向いていない通貨と言えます。
もちろん現在かかわっているプロジェクトが運用され、Zcash自体の規模が大きくなったらより活発に取引されるようになるでしょう。
しかし、今後もビジネス的な展開が期待される通貨のため中長期保有して、大きなニュースが出たら売買する。といった方法を現段階ではおすすめします。
Zcashが購入出来る国内の取引所
国内の取引所ではcoincheckだけでZcashが購入できます。
コインチェックはアルトコインを販売所形式で販売しているため、売買額には手数料が含まれます。
その一方で、欲しい分を早く手に入れることができるため、アルトコインの取引がそれほど活発ではない日本では最適な入手法といえるかもしれません。
コインチェックはブラウザ・アプリどちらも操作しやすく、わかりやすいので初心者でも取引がしやすいです。
Zcashが購入出来る海外の取引所
海外の取引所ではZcashの取り扱いが増えてきています。
有名なところだと
・Bittrex
200種類を超える通貨を取り扱う、大手取引所。
欧米でのシェアは1.2を争うほどですが、手数料が高いという声もあります。
複数の種類の通貨を売買したい人におすすめ。
BITTREX(ビットレックス)の登録方法や手数料についてを完全解説
・Poloniex
日本でも人気のアメリカの仮想通貨取引所。
手数料が低めなことに加え、ビジュアル性の高い取引画面で英語がわからなくても使いやすと多くのファンがいます。
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韓国の大手取引所、アジアでも大きな利用者層を獲得しています。
取引量が多く日本語対応もしているため、日本人でも使いやすですよ。