■コインチェックの不正送金問題で580億円のネムが全額補償されるという神対応
1月26日に大手仮想通貨取引所である「coincheck(コインチェック)」で、ハッキングされたことにより顧客のネム(約580億円相当)が不正送金されていたことが分かりました。
そしてこれにより盗まれたネムはこの先一体どうなってしまうのかという事が大いに懸念されました。
というのも被害総額の大きさからコインチェックは倒産する可能性が高いと推測されていたうえ、そうなった場合今の日本の法律上、そしてコインチェックの規約上、こうした盗難により預けていたコインが補償されるという見込みも薄いと考えられていたからです。
過去にはこのコインチェック以外でも不正アクセスによってコインが大量に盗まれたというケースがあります。
例としては2009年にマウントゴックスという取引所であった盗難が有名で、この時の被害額も非常に大きいものでした。
そしてこの会社は経営破綻してしまい、ここに預けていた顧客の通貨も返金されなかったようです。
この場合は返金するといった対応が必要だと思われますが、日本の法律上取引所が賠償を行う義務はなく、あくまで顧客の自己責任であるとされています。
結局この時にコインを預けていた人たちは泣き寝入りするしかなかったようでした。(これを俗に「GOXされた」と言います)
そして今回でのコインチェックの場合でも、マウントゴックスと同じくコインチェックが潰れることでコインをGOXされ、預けていた資産はすべて失うことになるだろうと思われていたことから、取引所のチャットやSNS(ツイッターなど)上でユーザーたちの間ではあきらめムードが漂っていました。
しかし盗難があった日からすぐに、コインチェックから盗まれたネムの補償に関する公式発表がありました。
内容としては不正送金があったネムの補償として、約26万人の保有者に対し日本円でコインチェックウォレットに返金するというものです。
具体的な補償金額としては88.549円×保有数となっています。これは売買停止時~発表があった時期における、ネムの取引高が国内で最多となる仮想通貨取引所「Zaif(ザイフ)」でのレートを元に算出された額です。
尚補償時期や手続きの方法に関しては現在検討中であるとのことです。
そして今後は原因究明・セキュリティ体制の強化・金融庁への仮想通貨交換業者の登録申請、そしてサービスの再開させて引き続き運営を継続させていく方針です。
とりあえずコインチェックがこのまま倒産し、ユーザーが預けていた通貨もすべて消えるという最悪の事態は避けられたようですね。
補償金額に関しては直近では底値と思われるような値段にはなるものの、一応保有していた数の分のネムは返ってくるという事で安堵の声が上がっています。
ちなみに私もネムではありませんが、コインチェックでしか買えない某アルトコインを購入したばかりで、ウォレットに移さずそのままコインチェックに置きっぱなしにしていました。
そして今回の不正送金の知らせを聞いて、自分が預けたコインに関しても半ば諦めかけていたのですが、僅か一日後にこのような神対応を受けて大変喜ばしい限りです。
■しかし、ネムnemでの返金ではなく、あくまでjpyの対応
今回のネムの返金に関しては、コインチェックの発表内容にも記載通り、ネムが返ってくるのではなく日本円での対応となっています。
ネムではなく日本円で返金する理由としては、詳しいことはまだ明らかにされていませんが、恐らく税金対策でこのようなやり方になったのではないかと考えられています。
尚この時のレートに関しては、売買停止期間中における別の大手取引所でネムの取り扱いが多い「ザイフ」の取引価格を基に算出しており、具体的には1XEM当たり88.549円で返金される予定です。
この金額に対しては不満を持つ声がある一方で、補償があるだけでもありがたいという声も多数上がっています。
しかしここで疑問視されているのが返金額の出所に関してです。
コインチェックの資本金から考えて、約数百億円という大金を果たして捻出できるのか少々謎です。
これに関しては色々と言われているようですが、有力な説としてはコインチェックが保有している通貨を売却することによって得た利益で返金可能なのではないかと考えられています。
仮想通貨自体は全体的に直近で急に上がってきているので、ネム以外のビットコインなどの通貨在庫から売れば、確かにそれくらいの額を賄う事も可能なのかもしれません。
またコインチェックでの月間取引高は4兆円に昇り、取引所ではなく販売所であることから手数料も高めに取れるので、月間における利益も多額(推定300億円)になると見込める事から対応できたものだと思われます。
■いつネムを返金されるかは明らかにされていない。
補償時期に関しては現在検討中となっており、具体的な日程はまだ明らかにはされていません。
返金額から察するにすぐには返金されず、ある程度の期間(半年など)を要するものだとも考えられています。
一応発表では日本円で返金を行うという方針であるものの、返金がいつになるのか分からない事から未だ不安に感じている方も多数います。
ちなみにネムは今年2018年の早いうちにカタパルトという大規模なアップデートが予定されており、これに伴い近々大幅に価格が上がるのではないかとも予想されています。
どうしても今すぐネムを取り戻したいという場合で資金に余裕があるのであれば、同じくネムを取り扱っているザイフなどで買い足しをするなりしていきたいところです。
■もしネムが返金された場合は強制利確という事になってしまうのか?
今回のネムの返金に関しては、ネムが返ってくるのではなく日本円での対応となっているため、強制利確という形になってしまいます。
ただし返金の際のレートがほぼ底値なので、強制利確とは言ってもたいていの場合は実質強制損切りという事になるでしょう。
■強制利確する場合の税金はどういう扱いになる?
強制利確になる場合は、税金が発生してしまいます。
つまり今回では日本円での返金により強制利確となることから、顧客側がその分の税金を強制的に払わなければなりません。
このようなことから「日本円ではなくネムで返すべきだ」という声が多数上がっています。

税理士の方の意見で上記のような意見もありますが詳しい事は御自身の担当税理士に確認してみましょう。
仮想通貨税金の計算方法と確定申告。いくらから税金がかかるの?
■ネムを高値掴みした人は強制損切りという可能性もありえる
今回の不正送金によるコインチェック側の対応で、返金がネムではなく日本円になり強制利確になります。
そしてこのコインチェックの返金発表時には約88円程度と、直近であれば底値と思われる相場になっており、具体的な返金額も88円程度になっています。
つまり高値掴みしたケースを始め大抵の場合は、底値と思われるレートでの返金となる事から強制ロスカットを受けることになってしまいます。
その上強制利確(損きり)により税金も発生してくるので、特に1月上旬辺りのピーク時(200円程度)で購入してしまった人たちにとってはたまったものではありません。
極めつけにネムの価格は不正送金後にはなぜか上昇しており、ここ2日の間ですでに100円を突破しています。
この後もネムが高騰していく事を想定すれば、やはり円ではなくネムで返金すべきだったでしょうし、日本円で返すにしても購入時の価格で補償すべきだったと言えます。
■今回の教訓でネムはウォレットにいれる事をおすすめする
- ●コインチェックでのネムの管理について
コインチェックでの仮想通貨の保管は、過去にハッキングによる資金流出があったマウントゴックスのような取引所とは違い、コールドウォレットと呼ばれるオンラインとは切り離された状態で保管してあるとコインチェックのサイト上の説明でも明記してあります。
しかしコールドウォレットに保管されていたのは、ビットコインやイーサリアムなどだったらしく、ネムなど他のアルトコインに関しては常時ネットワークに接続された環境にあるホットウォレットで管理していたようでした。
通常取引所でのネムの保管は、複数人の許可を得て初めて送金できるという「マルチシング」と呼ばれるセキュリティ向上機能が使われる訳ですが、コインチェックではこの機能も導入していませんでした。
コインチェックでのコインの管理に関する記載内容は完全に虚偽の説明ではないにしろ、すべての通貨がコールドウォレットで保管されていなかったことや、ネムのこのマルチシングが導入されていない事について、顧客側から疑問視され追及されているようです。
- ●ウォレットについて
取引所は日々ハッカーによるサーバー攻撃を受けている事などから、コインチェック以外でも不正送金による被害を受けることは十分に考えられます。
なので安全にコインを保管したいのであれば、取引所に置くのではなくウォレットに入れておくと良いでしょう。
ウォレットには主にウェブウォレットやソフトウェアウォレット、ハードウェアウォレットがあります。
- ▼ウェブウォレット
ウェブウォレットは無料で即座に作れるのでとにかくお手軽です。
ただしオンライン上なのでハッキングされたら盗難にリスクがあります。
- ▼ソフトウェアウォレット
パソコンやスマホにソフトウェアをダウンロードして使うタイプのウォレットです。
これはウェブウォレットとは違い、秘密鍵を第三者のサーバーに送らずに済むので、その分セキュリティ面でより強固となります。
ただしこれもウイルスによりハッキングされたら、不正にログインされ勝手に送金されたりする危険性があります。
尚ネムやXPなどは、このソフトウェアウォレットに入れておくだけでマイニング報酬が得られたりもします。
- ▼ハードウェアウォレット
小さい端末に仮想通貨を保管するという形のウォレットになります。
これに関しては完全にネット環境と分けて管理できるので、ハッキングによるリスクというものがなく極めて堅牢です。
また紛失したり故障しても、パスフレーズを残しておけば復元する事が出来ます。
ただしこの端末自体が1~2万円と高価なうえに、入れられる仮想通貨も限られてくるので購入前に注意が必要です。
オススメのハードウォレットとしては、性能や価格から「Ledger Nano S」や「TREZOR」と呼ばれるものが良いです。
・ビットコイン
・ビットコインキャッシュ
・イーサリアム
・イーサリアムクラシック
・ダッシュ
・ゼットキャッシュ
・ライトコイン
・コモドコイン
・ドッジコイン
・リップル
・ストラティス
・ネオ
・ERC20トークン
・ビットコイン
・イーサリアム
・イーサリアムクラシック
・ライトコイン
・Zcash
・DASH
・イーサリアムトークン
・モナコイン(新たに対応)
・ネム(新たに対応)
などがあります。
■何はともあれコインチェックの今回の対応は素晴らしい対応
返金がネムではなく日本円で強制利確になり税金を払わなければいけない事や、その補償金額自体にも納得がいかないという声が多数あったりするものの、不正送金された分はある程度きちんと補償されたり、対応自体も迅速だったという点に関しては非常に評価されています。
またここでコインチェックがなくなってしまった場合には、仮想通貨市場にも少なからず悪い影響を及ぼしていたことでしょう。
なのでコインチェックを倒産させずに事業を継続していくという事だけでも、国内おける仮想通貨市場全体を考えればプラスになってくると思われるので、そうした点においても今回の対応は良かったのではないかと感じます。
ちなみにこの発表後における各仮想通貨の値動きですが、例えばコインチェックで扱われている銘柄だと、ビットコインを始め他のアルトコインもすべて上昇していっています。
最近では仮想通貨は全体的に冷えており、今回の件でまた一時的に疑問視されるかもしれませんが、このコインチェックの対応を機になんとか悪い方ではなく良い方向へ進みだしてもらいたい限りですね。
そして全く落ち度がないにも関わらず、今回のコインチェックの騒動でサポートを行ったネム財団の対応も大変素晴らしかったと感じます。
元々「富の再分配」という理念に基づいているネムに関しては多数の人たちに支持されているわけですが、今回のこのネム財団の対応を受けてますますネムの支持者は増えていくのではないでしょうか。
そうなってくるとネムの将来性にも更に期待できそうですね。